2015年10月30日金曜日

5S活動成功への道6_成果を出す人づくりをめざす

改善を成功させるためには、人の意識と行動も変えなければなりません。
成果を出す行動特性を身に着け、改善した環境や手順、やり方を日常業務において活かすことができるようにしましょう。
成果を出す5S改善を進めるためには、意識と行動を変え、成果を出す行動特性を築き上げることも改善活動の一環として取り組みとします。


(1)意識と行動の変革

改善活動は、今までの考え方や、やり方を一旦、否定します。
否定することで、仕事に対する姿勢が受け身から攻めの意識に変わり、価値観も変わっていきます。
意識と価値観の変化が行動を変化させます。行動の変化が、日々の仕事のスタイルを変えて成果を出します。
改善は、単に、知識を与えるだけの人材育成ではなく、その人の意識や価値観を変え、行動まで変えることになります。
故に、あえて、人づくりと言います。
改善活動は、変化に対して、それを受け入れて、実務とのギャップを、改善によって埋めて解決して、モノにする力を持っている人たちをつくりあげていきます。
改善によって、変えることや新たなモノにチャレンジすることに抵抗がなく、逆に変化することを楽しむ人たちをつくりあげておかなければ、どんなにすばらしい戦略案であっても、それを実現することはできません。
改善による人づくりは、戦略を実現するためにも重要なことです。

(2)成果を出す行動特性へ

成果は、5Sなどの手法によって得られるものではありません。
手法を通じて、人の行動特性をより良い方向に変え、変えられた行動特性によって、仕事のスタイルが変わり、成果を生み出します。
改善リーダーは、様々な改善手法を展開していく中で、その改善ツールによって、メンバーの行動が変化してるのかをしっかりし観察しましょう。
スタンディング・ミーティングなどを通じて、チームづくりはできているのか?
改善管理表などによって気づき力は高まり、改善したことが定着し、習慣化しているのか?
限られた工数の中で、新たな取り組みを行う制約下改善はできるようになったのか?
目的・目標を常に意識して、それに向かう合目的行動は定着したか?
改善活動を通じての行動特性の変化を見落とさず、更なる活性化をさせていきます。

(3)5S改善で成果を出す癖をつける

5Sの基本は、「整理」と「整頓」です。この整理と整頓の「見方」「考え方」がすべての改善、そして管理において大きな変革と成果を生み出します。
「整理」の原則は、「今、必要なモノだけ」を仕事で使うというものです。
「今」と「必要」がポイントです。
後で要る、使う、ではだめです。今、この瞬間に必要のモノです。
これが徹底している人は、今、必要なモノに拘るようになっていき、今に集中、必要なことだけをする人となります。
トヨタ生産方式「Just IN Time」そのものとです。
この原則がムダを徹底的に省きます。
「整頓」の原則は、「使いやすい」です。「取り出しやす」ではありません。
仕事において、間違いがなく、ムダが無い、動作や判断ができるように、モノの配置・順番・表示を拘ることです。
この「整理」「整頓」の原則に基づいて自然に行動してしまう人は、改善などしなくても、普段の仕事において、自然と当たり前のように、間違いやムダのない仕事をするようになります。
5S改善の行き着くところは、このような人づくりにあります。

前の記事⇒ 5S活動成功への道-5 5S改善力を身につける
関連記事⇒ あの会社の5S活動がイマイチで効果のない理由

2015年9月29日火曜日

5S活動成功への道-5 5S改善力を身につける

改善としての5S活動とするためには、改善の基本スタイルを身につけなければなりません。
改善ボートによる活動の見える化を行い、改善推進のための仕組みづくりを行って改善のPDCAを回せるようにしましょう。
有効な5S改善を進めるためには、それをサポートする強力な改善ツールを準備し、実践的な取り組みとします。

(1)改善活動を見える化する

5S改善活動の目的・方針と目標、体制、日程など活動の基本情報を掲示した改善ボードを作成して職場に掲示します。
5S改善活動は、改善ボートの前に集まり、スタンディングミーティングを行って、コミュニケーションを取りながら推進していきます。
活動への参画を促すために、改善ボートにはミーティングへの参加状況を見える化した「星取表」などを掲示するといいでしょう。
改善活動の推進状況を目標実績グラフなどに表して改善ボートに掲示しましょう。
常に他の人に見える状態にある改善ボートに推進状況のわかるグラフが掲示されることで、推進意識を高めることができます。
改善ボートには、連絡事項や決定事項も掲示しておきます。決まったことなどの周知徹底と効率的なミーティング進行に役に立ちます。

(2)PDCAツールを作成する

改善の基本は、PDCAを回すことにあります。1回の改善ですべての問題が解決することはありません。
やってみて、確認して、うまくいかないところは直したり、変えたりすることを繰り返すことで改善のレベルは高まっていきます。
難しい問題や障害のある改善策は、何度もPDCA回すことによって解決できるのです。 改善のPDCAを回すツールを作成しましょう。
1つの改善案が、計画され、実行し、効果を確認して、見直す、そして、更にレベルアップした改善計画を立案する改善サイクルが回っていくことがわかる仕掛けをつくります。
例えば、PDCAの4つの象限に分けたシートに、1件1葉で改善案を書いた付箋紙を貼り、P->D->C->Aという順に付箋紙を動かしていくものです。

(3)5S改善ツールを作成する

5S改善をするには、5Sの基本原則に沿って、職場の整理や整頓状態の良し悪しを評価し、問題点を洗い出すツールがあると、より的を射た改善を行うことができます。
業務に役立つ5S改善とするためには、最初には業務の棚卸し行い、業務分類表を作成します。
まず、業務の整理・整頓をするのです。その上で、文書や資料、材料、部品、備品、工具などの整理・整頓基準を作成することで、業務と整合した整理・整頓基準を作成することができます。
業務分類表と整理・整頓基準を見比べて、業務分類表上の業務に該当しないの文書や資料、材料、部品、備品、工具を明確にして、業務に必要のないものを徹底的に排除します。
次に、5S改善を推進していく中で、決められた整理・整頓策をルール化し、表示や形跡整頓などによる徹底のためのツールづくりを行いましょう。
5Sの崩れ防止するためには、使ったものを元に戻すための仕掛けづくりは重要です。

前の記事⇒ 5S活動成功への道-4 脱・片付けをめざす
関連記事⇒ あの会社の5S活動がイマイチで効果のない理由

2015年8月26日水曜日

5S活動成功への道-4 脱・片付けをめざす

成果を出す5S活動とするためには、片付けスタイルの5Sから脱却しなければなりません。
片付けを繰り返していても不要なモノを生み出す元凶を無くさなければ、いつまでも片付けをしなければなりません。
不要なモノを生み出すプロセスを改善して、片付けをしなくてもいつも綺麗で仕事のしやすい状態となっている5Sを実現しましょう。

(1)プロセスを対象とする

部品や資料、備品などは、何らかのプロセスからのアウトプットです。
不要なモノとなった部品や資料、備品なども何らかのプロセスからのアウトプットです。
不要なモノを生み出すプロセスがある限り、不要なモノは次々と生み出され、片付けや整頓を行い続けなければなりません。
ところが、片付けや整頓をすることが5S活動と思っている人は、片付けや整頓することに疑問を感じません。
5S活動が適切に行われていて問題ないと思っています。
はたして、不要なモノが生まれてくることを対策しないで、片付けや整頓を繰り返すだけで、仕事の品質や生産性は高まるのでしょうか?
品質や生産性を高めるには、その元凶である不要なモノを無くさなければなりません。
成果を出す5S活動は、不要なモノを最初から生まれないように、プロセスを改善対象とします。

(2)不要なモノの定義を変える

不要なモノとは、仕事に必要ないモノのことですが、皆さんは、仕事に必要ないモノをわざわざ作成したり、生み出したりしていますか?
「そんなムダなことはしていない」とほとんどの方が言われるでしょう。
5S活動の片付け対象のモノは、仕事で使っていたけれど、使い終わって、今はもう不要となったモノが対象となります。
ですから、5S活動の整理は、使い終わったモノの片付けに終始してしまいます。
片付け型の改善から脱却することができません。
最初から不要なモノはないので、不要なモノを生み出すプロセスもないことになります。
これでは、プロセスを改善するという発想は生まれてきません。
プロセスを改善し仕事の品質や生産性を高める5S活動にするためには、不要なモノの定義を変える必要があります。
不要なモノ=仕事に必要ないモノという定義に時間と場所を加えてみましょう。
不要なモノ=”今のこの仕事”に”この場所”にある必要のないモノと定義してみてください。
さらにこれを必要なモノの定義に変えましょう。
必要なモノ=”今のこの仕事”に”この場所”になくてはならないモノと定義してみてください。
例えば、商品を納入した後の請求書作成の場に、顧客の受領印の押された納品受領書は必要でしょか?
請求書は、出荷時の納品情報だけで作成することができます。
ほしいのは、納品できなかった商品の情報です。
納品できなかった情報がわからなければ請求書を作成してはいけないものが特定できないのです。
納品できた商品の情報は必要ありません。
請求書の作成の場には、顧客受領印が押された納品受領書は不要なモノとなります。
不要なモノの定義を変えると仕事の仕方の考え方も変わり、そのプロセスも大きく変わることになります。
「納品できたものの請求書を作成する」という考え方が「納品できなかったものの請求書は作成しない」という考え方に変わります。
当然、仕事のプロセスも変わります。

(3)プロセスを改善する

新たな定義の不要なモノがない状態、本当に必要なモノだけで仕事をするためには、どのような仕事の仕方、プロセスになっていればよいか考えてみましょう。
例えば、
請求書は出荷時の納品情報で作成し、納品受領書は請求書作成に必要ない状態。
納品できなかった情報で請求書を作成してはいけない商品を特定する仕方での仕事のプロセスを考えてみましょう。
従来の仕事のプロセスは、納品後、受領印の押された納品受領書でシステムに納品完了入力をして、納品完了したデータから請求書を印刷出力をしていました。
新たな定義での仕事のプロセスは、納品できなかった情報(未納品物の現品票または残っている納品書など)でシステムに納品未完了入力をして、納品未完了データ以外の納品データから請求書を印刷出力するようにします。
完了情報を入力するプロセスが無くなり、未完了情報を入力するプロセスとなりました。
完了情報入力に比べ、未完了情報入力の件数は少なく、大幅な工数低減となっています。
入力漏れなどによる請求漏れのリスクも大幅に軽減されます。
このような
”今、””この場所”にある必要のないモノという視点で不要なモノを見るこでは、プロセスを改善することでき、片付け型整理から脱却して、プロセスの整頓ができるようになります。
このようなプロセスにメスを入れる5S改善によって、仕事の品質と生産性、納期のパフォーマンスを高めることができるようになります。
そして、このような5S改善は、まさにムダとり改善そのものと言えます。

前の記事⇒ 5S活動成功への道-3 目的と管理指標の設定
関連記事⇒ あの会社の5S活動がイマイチで効果のない理由

2015年7月27日月曜日

5S活動成功への道-3 目的と管理指標の設定

職場で5Sや改善活動を展開するには、5Sや改善の目的、意義や効果を活動に関わる者、全員が認識し共有します。
目的を達成するためには、目標を設定し、結果を導き出すプロセスを管理指標によって測定監視し適切な活動となるように管理します。



(1)5S活動の目的の明確化

目的とは、5Sや改善活動を行う理由です。
なぜ、5Sや改善活動を行うのか?活動の結果として得られることものは何であるのか明確にします。

また、5Sや改善活動が浸透したあとの「めざす姿」を明確にすることです。
良くなってほしいこと。
できるようになりたいこと。
顧客や周りから評価されたいこと。
自分たちとして自信を持ちブラインドが持てる状態。
活動に相応の時間とコストをかけることに見合った内容にします。

5Sによって経営や仕事において、どのような効果があるのか明確にしましょう。
ここで、本当の5Sの効果を出せるか否かが決まります。
職場を綺麗にする。
部品や資料が取り出しやすくする。
など表面的な効果ではなく、
品質や生産性、納期、安全性の向上を具体的にイメージした目的を掲げましょう。


(2)目的に向かう方針も明確にする

方針とは、目的を達成させるときに自分たちとして、 こだわること。
配慮すること。
チャレンジすること。
などです。
目的に向かって、ひたすら努力すれば達成できるというものではありません。

また、達成すればいいというものでもありません。
達成過程で得られるモノもたくさんあります。
過程において得られるモノは、次の活動や仕事において大きな糧となるものが多くあります。
5S活動は、人づくりにおいて大きな成果を出すことができます。
しかし、ただの整理整頓活動で終わってしまっては、人は成長しません。

5S活動を通じて、
自ら考え、工夫し、行動する力をつける。
現状を打破し、顧客や環境に応じて最適な方法を自ら編み出す力をもつ。
5Sでは、不要な資料や部品などを棄てるだけでなく、価値のないプロセスや手順、仕事をやめる改善までレベルアップすることで、自分たちの仕事の付加価値や生産性を高めることができます。
このような5S改善にこだわる方針を掲げてください。

目的に向かって、どのような道筋、方向から5S活動を行うのか、攻略するのか、その方針を明確にしましょう。


(3)目標と結果指標・管理指標を設定する

目標は、目的を達成したか否かを客観的に測定するために必要なモノです。
また、目的に向かう過程において、正しくタイムリーに実践できているか、道から外れたりしていないか、評価・測定するものです。
前者を最終目標、後者は活動目標またはマイルストーンと言います。

最終目標は、目的を達成したか、客観的に、できれば数値によって測定できる結果指標を使って表します。
売上や利益、品質レベル、納期遵守、安全度などの指標となります。

活動目標またはマイルストーンは、最終目標を達成するために、必要な施策や行動などが適切かつタイムリーに実施されているか評価・測定する管理指標によって表します。
実施回数や実施率などの指標となります。

結果指標は、活動の結果を測る指標です。
管理指標は、活動の取り組み状態を測る指標です。
改善活動において管理すべきは、行動です。
結果を監視して処置しても改善案が的を射ていなかったら期待する結果は得られません。
まして、やるべきことができていなければ結果が得られるはずもありません。
活動の管理は、有効な手立て打つことです。
そのためには、結果に対する行動の適正性、行動そのもの実効性をモニターしなければなりません。


前の記事⇒ 5S活動成功への道-2 5Sを正しく理解する
関連記事⇒ あの会社の5S活動がイマイチで効果のない理由

2015年6月23日火曜日

5S活動成功への道-2 5Sを正しく理解する

5S活動では、保存・廃棄の5Sから作成・利用の5S、プロセスの5S、仕事への5Sと対象のレベルアップをして改善力を成長させていきます。
その対象ごとの5Sによる効果を理解し、その効果を引きだす活動を行っていきます。



(1)保存・廃棄の5Sから始める

まずは身の回りにある保存状態、廃棄対象の資料や部品、備品・工具を対象に整理改善を中心に取り組みます。
5S活動としては、最も初歩の対象です。
保存状態にあるモノは、仕事が終わったものです。
終わったモノを再利用するかも、何かあった時のバックアップとして残したいという考えから保存されています。

まずは、この考えを断ち切ることから始めましょう。
再利用はできません。
何かあった時に役立つものはほとんどありません。
過去の遺物が現在または未来の仕事を縛り、進化を邪魔します。
無ければつくることに専念するようになります。
新しい環境に合わせた新しいやり方を模索するようになります。

保存状態にあるモノの本当の必要性や期限をハッキリさせて、保存しなければならないものを今の10分の1以下にしましょう。

廃棄対象は、すぐに処分する仕組みをつくります。
いらなくなったら即日処分する仕組みにすれば、保管スペースは不要となります。

いらないものを見限る力を養うのがこの段階の目的です。
残念ながら、保存・廃棄の5Sの改善効果はほとんどありません。
見限る力が養われるだけです。


(2)作成・利用の5Sにステップアップする

イマイチで効果が出ていない5S活動は、保存・廃棄中心の5Sとなっていることが少なくありません。
効果を出している組織・職場は、作成・利用の5Sへとステップアップさせています。

仕事において、何かを作成したり、利用しているとき、その場所での5S活動をしましょう。
仕事中のモノが対象となります。

整理では、仕事のその瞬間瞬間に必要なモノと不要なモノを仕分けて、不要なモノを遠ざけます。

例えば、机の上には今の作業において、今必要なモノしか置かれていないようにするということです。
次の作業の資料や部品は不要です。
前の作業で使った資料や部品も不要です。
この不要なモノが、間違いの元となります。
違う資料や部品を使って作業をしてしまったり、資料や部品が紛れて見落としたりするのです。

必要な分だけの部品や備品だけが置かれていれば、それが無くなったことがどこまで進み、何が終わって何が終わっていないか見える化されます。
作業完了したのに部品や備品が残っていれば、作業ミスしたことを作業者に気づかせてくれます。

整頓では、作業をしやすい環境をつくります。
作業手順を守らせることにも整頓は大きな力を発揮します。

例えば、作業の順番に資料や部品、工具を並べておけば、並んでいる順にそれを手に取り作業するだけで正しい手順が守られます。
いつも同じ順番、置き方にしておけば、手順を身体が覚えてしまいます。

取りやすい置き方、戻しやすい置き方にすれば、落下や戻し間違いなどがなくなり、作業が流れるようにスムーズになります。

スムーズになれば、作業ミスは減り、スムーズではない時は、何かおかしいと異常を作業者に知らせてくれます。

この段階の清掃は、掃除をするとい考え方を捨てる段階です。
作業と片づけを同時進行させる仕事のやり方にします。
清掃を作業の中に組み込んでしまうのです。
仕事が終わったとき、机の上には何もない状態にするということです。

清潔は、置き場や置くモノの表示を徹底して、整理・整頓を見える化の側面から補強します。

躾は、整理整頓された作業環境と方法を徹底し継続するための取り組みです。
教育も不可欠ですが、徹底・継続するための道具・仕掛けづくりも大切です。
継続することが効果を大きく育てることになります。

作成・利用の5Sは作業の中での改善が進められます。
作業を邪魔したり、不安定にさせる原因を取り除き、時間も方法もばらついていた作業がスムーズにできるようになります。
当然、ミスも減り、ムダもなくなり、作業の品質も生産性も高くなる効果が生まれます。

この段階では、5Sの意義と効果を体感して、5Sへの取り組み姿勢が大きく変化します。
やらされ感がなくなり、主体的に5Sをやろうとする風土が生まれてきます。


(3)プロセス・仕事を5Sする活動へ進化させる

作成・利用の5Sでは、現在のプロセスや仕事の中での改善でした。

企業や仕事を取り巻く環境は常に変化していきます。
顧客の要求も多様化し、高度化していきます。

このような環境変化、要求の多様化・行動化に対応していくためには、プロセスや仕事そのものを見直していかなければなりません。

プロセス・仕事、一つひとつについて、その必要性と価値を吟味することが整理となります。
そのプロセス・仕事は、新たな環境や要求において、
本当に必要ですか?
価値を生み出しますか?
ということを自問自答し、必要のない価値を生まないプロセスや仕事をやめる改善をします。

整頓では、プロセスや仕事の順番や構成について考え、改善します。
あらたな環境変化、要求の多様化・行動化に対応するためには、プロセスや仕事はどのような順番や組み合わせて行うべきか設計し、遂行するための仕組みと道具をつくります。

プロセスと仕事の5S活動の効果は、これまでのコスト削減やミス・不良低減といった引き算型改善から、新たな価値や力を創出するといった足し算型改善の効果が期待できます。

5S活動によって直接効果が生まれるというより、改善を通じて創造された仕事やプロセスが実行されることによって、戦略実現も含めて様々な効果が生み出されてきます。

そして、5S改善活動は、この高度で魅力ある仕事やプロセスを創造し遂行できる人たちをつくることに最も大きな効果があると言えます。


前の記事⇒ 5S活動成功への道-1 場づくりと体制づくり
関連記事⇒ あの会社の5S活動がイマイチで効果のない理由

2015年5月24日日曜日

あの会社の5S活動がイマイチで効果のない理由

多くの会社が5S活動を行っていますが、5Sに取り組んでから品質も生産も高くなり、組織風土も良くなった会社がある一方で、目に見える効果もなく、社員はやらされ感の中、5Sを負担と思っている会社があります。
この違いはどこにあるのでしょう。
5S活動がイマイチの会社によく見られることをまとめてみました。


(1)5S活動を社員へのしつけとして取り組んでいる

やりっぱなし、出しっぱなしの仕事の仕方を直して、整然とした職場の中できっちりと仕事をこなす社員になってほしい。
こんな思いを多くの経営者は抱いています。

整理整頓が習慣化されると社員も職場も毎日気持ち良く仕事ができるようになり、品質も生産性も高くなることは間違いありません。
社員への「しつけ」としてモノを整理整頓し、片付ける習慣をつけさせたいという思いから5S活動を経営者の号令一つで取り組んでいる会社は少なくありません。

禅のように型から入り精神を鍛えていくというアプローチで5Sを取り入れる方法も間違いではありませんが、師家のようなゆるぎない教えと厳しい躾を続ける人が社内にいなければ、整理整頓が徹底せず習慣化されません。

パワハラと言われ、部下を指導することもやりにくい環境にもなってきています。
命令と厳しい指導だけで5Sを徹底させることは難しい状況です。
今までの5S展開のアプローチが通用しにくい環境となってきているにも関わらず旧態依然の方法で5Sを進めていることがイマイチの原因となっているのではないでしょうか。

(2)5S活動をすることが目的化している

5S活動を社員へのしつけとして取り組んでいる会社は、5S活動することそのものが目的となっています。

しつけという位置づけでなく5S活動を取り組んでいる会社でも「5Sをすると職場がきれいになる。
気持ちよくなる。
」といった漠然とした目的で取り組んでいる会社は、社員からは5S活動すること自体が目的となっていると思われています。

行動や行為が目的とされている活動は、社員からは「なぜやるの?」「どんな効果があるの?」という疑問が湧いてきます。
その疑問に答えられず、「5Sをすると職場がきれいになる。
気持ちよくなる。
」といった漠然とした目的や「書類や部品がすぐに取り出せるようになる」といった効果の小さい目的を示されても、忙しい中、今の仕事を一旦止めてまで5Sをしなければならないことへの納得は得られません。

(3)5Sの目的・効果を納得できる説明ができる人がいない

5S活動の目的と効果を社員が納得できるように説明できる人がいないことがイマイチの原因の一つです。

不要なモノがあふれていた職場が整理整頓により、不要なモノが片付けられてすっきりするところまでは、5S活動への賛同は得られます。
不要なモノがなくなってから、さらに5S活動を進めるときには、5S活動の目的と効果を示さなければ、5S活動への賛同は得られなくなります。

私も若いころ上司に5Sをしなさいと言われた時、「なぜやるの?」「どんな効果があるの?」と質問しましたが、納得できる答えはもらえませんでした。
それから私は大の5S嫌いとなりました。

5S活動の目的と効果について納得できる説明ができなければ、5S活動は活性化しないどころか、5S嫌いを大量生産してしまうリスクさえあります。
5Sの目的の説明は難しいです。
効果に至ってはプロでもしっかりと説明できる人は少ないです。
納得を得られる説明ができないから、5Sをやれと押し切ってしまう人も少なくありません。

(4)片付けと整然と並べる整理整頓に終始している

5S活動の目的・効果が示すことができず、整理整頓することを求められる活動では、不要なモノが片付けられて、整然とモノが並んでいる状態になっていることが良いとされてしまいます。
その状態が整理整頓をした証に他ならないからです。

不要なモノがなくなり、整然と並んでいることでどのような効果があるでしょうか。
すっきりと気持ちの良い職場になったかもしれませんが、仕事の品質や生産性が高まることにつながると説明できません。

5Sの本当の効果は、片付けることではなく、最初から散らからず片付ける行為自体が必要ないようにすることで生まれます。
最初から散らからないということは、不要なモノを生み出さない仕事の仕方ができているということです。

片付け続ける職場では、不要なモノを生み出す仕事の仕方そのものは何も改善されていません。
不要なモノを生み出す仕事の仕方は、当然、その分、生産性は落ちます。
出来上がってからしか必要と不要の区別のできない仕事の仕方は、出来上がらないと良・不良の区別ができない仕事の仕方でもあります。
当然、不良を生み出し続けています。

片付けと整然と並べる整理整頓に終始する5S活動は、どれだけ続けても効果は出てきません。
効果が出なければ、5S活動を続けることに懐疑的になり、形ばかりの5S活動となり、それがさらに効果を生まない5S活動となる負のスパイラルに陥っていくのです。


次の記事⇒ 5S改善成功への道-1 場づくりと体制づくり
関連記事⇒ トヨタ生産方式を失敗する会社と成功する会社の違いは何でしょう?

2015年4月23日木曜日

5S活動成功への道-1 場づくりと体制づくり

5S活動の取り組みの最初は、5S改善活動を進める場づくりとして、改善ボードの設置とスタンディングミーティングの導入を行います。5S改善活動を推進する体制では、管理者、改善リーダー、改善トレーサー、改善伝道師の4役を置きます。


(1)5S活動ではなく5S改善をめざす

「5Sに取り組んでいるけど、みんなやらされ感から掃除しているだけで、活動が盛り上がらない。5Sは必要とみんな言うけど、5Sが嫌いと言う人も増えてきた。」という声があります。
5S活動を組織風土づくりという「運動」のように取り組んでいる会社は、このような状況に陥っている所も少なくありません。
5S活動は、組織風土づくりとして比類なき活動です。
仕事をする上での基本的な姿勢と行動づくりに有効な活動です。
しかし、それは上からの「社員のしつけ」という意味でとらえられてしまうこともあります。
5Sは、働く人一人ひとりにとって、意義があり、仕事において効果のあるものとして取り組むことによって、社員の取り組み意識も前向きになり、仕事の品質や生産性を高めることに効果出すことができます。
5Sという切り口から仕事を改善する活動として、5S改善活動を進めましょう。
自分の仕事の品質や生産性が高まれば、それは自分のための取り組みということになります。

(2)活動の場をつくる

5S活動は、人づくり、組織づくりとして大きな効果を生む取り組みです。
高い改善成果をめざすのではなく、一人ひとりの力を高めて、一人ひとりの仕事をより良いものとする取り組みです。
そのためには、職場主体での全員参加の改善活動としましょう。
一部の選ばれた人だけのプロジェクトチームで取り組む活動ではありません。
5S活動を職場主体の取り組みとするために、職場に5S活動のベースキャンプを設けましょう。
5S改善のベースキャンプの柱は、改善ボードとスタンディングミーティングです。

(3)改善ボードを導入する

改善ボードは、改善活動を見える化し「目で見る管理」を行うツールです。
目で見る管理とは、改善活動の目標と重点課題、実施状況、バラツキ、遅れ進み、問題点や、異常の発生状況、処置・対策、行動等が一目で見てわかり、改善の展開及び日常管理において活動のQCDSが低下する前に、異常を検知し、アクションをとる予防的管理/改善を実践する方法です。
改善ボートによって、改善の目的、方針、目標、体制など活動の基本情報の掲示と日々の改善の進捗状況の掲示、改善の知恵・ノウハウの共有を行います。

5S活動に改善ボードを導入する目的は以下の通りです。
a.必要な情報の形式知化と共有
組織の方針・目的・目標等の形式知化と関係者への周知にする。
方針・目的を実現するための体制・手段・スケジュールなどを明確にする。
b.つながりを明確にする
組織の目標と個人の役割・行動のつながりを明確にする。
目標を実現するために必要な行動を明確にする。
c.自律管理
自分たちの進むべき道の認識を高める。
適切な活動の継続を自ら監視し、確証を得る。
影響が出る前に異常を検知し、アクション(予防・改善)をする。
d.組織能力を高める
異能が集い、知識と経験を共有して、新たな気づきを得る。
互いに助け合い、励ましあって、組織のストレス耐性を高める。
競い合い、刺激しあって、競争心と向上心を高める。
e.プライドと責任感をもたせる
自分たちの活動を公共の場に示し、活動に対するプライドと責任意識を高める。
現地・現物・現認の推進
経営者・幹部が現地・現物・現認で管理・改善活動にコミット(関与)する場をつくる

(4)スタンディングミーティングを行う

スタンディングミーティングは、その名の通り「立って行うミーティング」で、立って行うことにより、ミーティング集中し短時間で行うことをめざします。
ミーティングは、改善ボードの前に集まって、改善ボードを使って行います。
改善ボード前でやることにより共通意識をつくり、必要な情報が目の前にあることからミーティングに意識を集中させることができます。
ミーティングでの結論や約束は、すべて改善ボードに反映され、議事録などは必要ありません。
ミーティングは、朝会、昼会、夕会など職場のコミュニケーションの必要とするタイミングで、毎日、10分前後行います。
毎日行うことで、コミュニケーションロスがほとんどなく、本題だけに集中して話し合いができます。週1回の頻度では、1週間の状況説明、先回の話し合いの思い出し、確認などに時間を取られるコミュニケーションロスが大きくなってしまいます。
ミーティングでは、情報の共有/伝達、行動の促進、問題解決、知識・気づきの共有と相互啓発を行います。

(5)改善への取り組み体制をつくる

改善体制づくりでは、4役を置きましょう。
4役とは、管理者、改善リーダー、改善トレーサー、改善伝道師のことです。
管理者は、職場の管理者のことで、管理者も5S改善に巻き込むことが大切です。
管理者の役割は、「改善活動と日々の業務のバランスを取らせること」「改善の時間を確保させること」にあります。
どうしても、業務優先で5S活動を後回しにしがちな職場メンバーに業務とバラスさせて5S活動へ取り組む時間を設けるように仕向けていきます。
改善リーダーは、その名の通り、5S改善活動を推進するリーダーです。
業務上のリーダーとは分けることが望ましいです。
リーダーシップ力のある業務リーダーに改善リーダーを兼務してもらいたいと考えがちですが、兼務はリーダーへの負担も大きく、どうしても業務優先へ誘導してしまいます。
改善トレーサーは、改善活動の進捗状況を監視し、進捗状況を改善ボードに反映させる役割の人です。
改善ボートは、現在の状況が反映されなければ、目で見る管理が実践されません。
改善ボードによる目で見る管理に慣れていない初期の段階では、改善トレーサーを置いて、改善ボードをしっかりと機能させることが大切です。
改善伝道師は、改善の原理原則を伝え、事実に基づいて改善を推進することを指導する役割の人です。
職場以外の人で、改善経験のある人から選びます。
職場内の改善活動では、人間関係を壊したくないという思いから、お互い遠慮がちで、当たり障りのない中途半端な改善を選択しがちです。
職場のメンバー同士では、言いにくいことを改善伝道師が言って、職場の意識や行動を変える改善活動へと誘導することも役割としてあります。